子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)接種勧奨資料のご案内

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の接種勧奨について

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)接種勧奨資料に至った経緯・背景・目的

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子宮がんは、がん発生する部位で、子宮頸がんと子宮体がんに分けられます。現在、日本における子宮頸がんは約1.1万人/年が病気にかかり、約2,900人/年の女性が亡くなっています。主な原因が、HPV(ヒトパピローマウイルス)の子宮頸部への感染です。20歳代と30歳代に好発し、30歳代までにがんの治療で子宮を失ってしまう(妊娠できなくなってしまう)人も、毎年、約1,000人います。このように、子宮頸がんは、女性にとって予防したい"がん"の一つです。HPVの感染を予防するHPVワクチンは、3種類(2価ワクチン(サーバリックス)、4価ワクチン(ガーダシル)、9価ワクチン(シルガード9))あります。2価ワクチン(サーバリックス)および4価ワクチン(ガーダシル)は、HPVの中でも子宮頸がんをおこしやすい型であるHPV16型と18型の感染を防ぎ子宮頸がんの原因の50~70%を防ぎ、9価ワクチン(シルガード9)では、HPV16型と18型に加え、31型、33型、45型、52型、58型の感染も防ぐため、子宮頸がんの原因の80~90%を防ぐと考えられています。2019年以降、複数の北欧諸国から、ワクチンを接種した女性では、ワクチンを接種しなかった女性と比較して浸潤がんの罹患率が低いことが報告されており、子宮頸がんはHPVワクチンによって予防可能であることが証明されました。そして、WHOからの提言でワクチン接種率と検診受診率があがれば子宮頸がんが排除可能と提言されています。
既に世界中で広く、長い期間、使用されているワクチンであり、WHOを含め世界中で安全性が定期的に確認され、これまで推奨変更をした国はありませんが、2013年日本においては、ワクチン接種後に報告された多彩な症状に対する調査のため国の積極的勧奨中止をうけ待機接種廃止に近い影響が出てしまいました。国内にける調査が行われ、多彩な症状とHPVワクチンとの因果関係は認められないとの専門家会議の結論をふまえ、2022年4月より積極的勧奨が再開されました。ワクチン接種の積極的勧奨は再開されましたが、諸外国と比べてかなり低い接種状況が続いています。積極的勧奨中止前において、HPVワクチン接種の50%を内科の先生方が行っていたデーターが存在します。
内科の先生やかかりつけの医師は、ワクチンの対象者だけでなく、対象者の家族(親御さん・お祖父さん・お祖母さん)と接触する機会が多いと思います。
子宮頸がんによって、若い女性が、ご両親に見守られながらあるいは小さなお子さんに見守られながら最後を迎えるという悲しい場面や一生妊娠出産ができなくなるような状況を防ぐためにも、我々内科医やかかりつけ医がHPVワクチンの重要性を対象者や家族に伝えて、ワクチンを接種するかどうか選択する機会を作ることは非常に重要なことであり、今回の資料作成に至っております。
ぜひ、啓発資料をダウンロードしてご利用いただければ幸いです。