第31回 日本臨床内科医会総会報告

去る4月13日(日)東京商工会議所で神奈川県内科医学会主管(会頭 中 佳一)の第31回日本臨床内科医会総会並びに講演会が全国から1,000名余の会員さらにはご家族の参加の下盛会に施行されました。主管の立場からその概略をご報告します。
今回、総会並びに懇親会の開催終了時間を午前10時から最大午後5時迄と設定し、会員が当日参加並びに帰宅出来る様に計画しました。出来るだけ多くの会員が総会に参加され当会の平成25年度の事業報告並びに決算、平成26年度の事業方針並びに予算を討議され、私共の組織活動の全体を確認されるよう企図しました。おかげ様で前日の理事会並びに代議員会で決議されました「平成26年度診療報酬改定に対する要望書」を総会で承認いただきました。
午前11時45分からのランチョンセミナーは2会場で開催され、現在私共がもっとも日常診療で拝見する「糖尿病」と「慢性腎臓病」とについて主管県の大学教授より疾患の病態と最新の治療とについて講演をいただきました。その中で神奈川県に於ける県下臨床医と大学を軸とする専門医療機関との連携の臨床研究の成果の一端が報告されました。日臨内各支部におかれましても参考にしていただければと考えます。

午後1時からは特別講演Ⅰとして診療報酬改定につきまして3度かかわられておられます私共の会員である安達秀樹中医協委員より今回の改定の「核心と課題」として講演がありました。診療報酬改定が2025年問題を踏まえた社会保障改革上にあることを、具体的項目をあげて講演されました。外来、入院医療の機能分化と連携強化さらに在宅医療の充実、医療従事者の養成等々がどこに込められているのか、舞台裏を含めながら講演いただきました。そして今回の改定が1.26%のマイナス改定であり、かつその中に厚労省の基本方針、重点項目がつらぬかれており、このメッセージを私共がしっかり踏まえ対応する事が大事であると共に、消費税増税を診療報酬で改定するのは無理でありなんとしても次回は原則課税にするべきであると強調されました。また従来からの氏の我国の診療所の質の高さと効率性について、受診回数とその経済性とについて具体的資料を下に述べられ、次回の改定でも評価提案していくとして講演をしめくくられた。

特別講演Ⅱはこの度発足した日本専門医機構の初代理事長である池田康夫先生より「新専門医制度について―総合診療専門医の新設―」と題してご講演をいただきました。我国の現在の医療、医学制度の克服すべき課題としての専門医制度の弱点、学会専門医の量と質の担保とをあげ、改革の要として患者にわかりやすい専門医制度をつくること、さらに専門医の質を向上させることを軸に検討していると述べられました。そして基本領域18に加えて新たに19番目として「総合診療専門医」を加えたとして私共会員が関心あるものとして解説を加えられました。池田先生は率直にこの作業が大変であり、研修プログラム評価、認定委員会の構成、研修施設認定、キャリアパスとしての「総合診療医」の位置づけなどまだまだ明確になっていないと率直に述べられました。そして「総合診療医」の育成とその特徴づける能力とはどんなものかとしていわゆる「かかりつけ医」ではなく日常の疾患や傷害の治療の適切な初期対応と継続治療とを全人的に提供出来る「地域を診る医師」として定義づけられました。全体として「総合診療医」の2017年発足迄いろいろ検討する課題が多々あり、私共も意見具申、提言提案する機会があり臨床内科医会の積極的活動を期待したいと講演をまとめられた。

午後3時半からは東京商工会議所8階スカイルームで懇親会が開催されました。司会を神奈川県内科医学会副会長の沼田がつとめ最初に短い会頭の感謝の挨拶のあと、同じく副会長の山本より総会準備迄の経過報告と今回の懇親会ベーゼンドルファーのグランドピアノとピアニストの「さくらジェンコ」の紹介がなされ、猿田会長のねぎらいの言葉と乾杯の下、会はなごやかのもと進行しました。中締めとして同じく副会長羽鳥が挨拶をさせていただきました。懇親会の終了迄ピアノ演奏はつづけられ多くの会員が最後迄たのしまれました。

さらにご報告として当日参加された会員には神奈川県内科医学会の禁煙指導マニュアル作成委員会並びに認知症対策委員会製作の"今日からできるミニマム禁煙医療" "認知症標語集"を贈呈させていただきました。禁煙外来開設並びに認知症診療の一助となればありがたいと考えます。

総会並びに講演会等、会員はじめ関係各位のご協力、参加で無事終了することが出来ました。心から感謝申し上げます。来年2015年4月12日京都開催予定の第32回日本臨床内科医会総会(会頭 垣内 孟 京都内科医会会長)にはさらに多くの会員が参加されることをお願いし報告とします。

第31回日本臨床内科医会総会
会頭 中 佳一