日本臨床内科医会 - Japan Physicians Association

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第30回日本臨床内科医会総会報告

 第30回日本臨床内科医会総会を東京内科医会が担当し4月14日(日)に開催致しました。会場は、日本内科学会が行われている東京フォーラムから徒歩5分の東京商工会議所です。

 前日の理事会、代議員会に引き続き午前9時半から行われた総会には横倉義武日本医師会会長、細谷龍男第110回日本内科学会総会・講演会会頭、野中博東京都医師会会長に御来賓として臨席賜り、祝辞を頂きましたこと厚く御礼申し上げます。
 医師会、内科学会は当会にとって最も重要な連携団体ですが、ご多忙の中、会長、会頭自からご臨席頂け、意見交換を行うことができ、両者との絆が一層深まった気が致しました。

 日本内科学会の評議員数は、定款の改定に基づき、600名以上~700名以内となり、今回から実地内科医の会員も含めることになりました。経緯としては、内科学会各支部から、日臨内あるいは医師会経由で依頼し、日臨内で評議員候補者を選出し、52名の候補者を内科学会に答申し、答申通り承認されました。日臨内が従来の2名から52名と大幅な増員がございましたことは、実地内科医を代表する組織として両団体から認識され、期待されている証であると受けとめています。

 冒頭、会頭として挨拶させて頂きましたが、この素晴らしい会に私自身が育てて頂いたこと、内科を標榜するすべての医師が入会する、その日が、来ることを夢見て今後も積極的に活動を続けていく所存であることを話させて頂きました。今回の講演会すべてに共通しているのは、『立ち止まって、いちど整理してみよう』ということです。現在、医療に関して、何が問題になっているのか、どう進展しているのかは診療に携わる全ての医師が知っておくべき事項です。特定健診も5年が経過し、今年は節目の年です。バイパス手術の適応がオフポンプ手術の普及で大きく変わってきました。 猿田会長のご挨拶からは、今後、専門医、総合医問題をはじめ内科医会が直面している諸問題を、多くの関連団体と積極的に協議していくという強い意志を感じ、感銘を受けました。神津仁常任理事による理事会、代議員報告等の議事を挟み、地域医療に貢献した会員の表彰、名誉会員の表彰が行われました。最後に余昌英副会長の退任のご挨拶、垣内孟新副会長の就任のご挨拶があり終了となりました。14年に渡り役員を勤められた余副会長には、心から感謝申し上げます。

11時から行われた鼎談のテーマは『医療を取り巻く最近の話題』で、今村聡日本医師会副会長からは控除対象外消費税問題を中心に. TPP、総合専門医、地域包括ケアシステム、特定看護師制度などにつきその問題点、日医の対応につきお話し頂きました。控除対象外消費税は過去において診療報酬の上乗せとして処理されましたが、項目に隔たりがあったり、その後減額されたりと問題が多く、診療報酬で1.53 %補填さて解決済とされてきましたが、実際は2,410億円が医療機関の負担になっているとのこと。近日中に開催される自民党の『医療と税制に関するプロジェクトチーム』でのヒアリングの中で消費税の非課税制度を仕入れ税額控除が可能な課税制度に改めるよう強く求めていく方針を示されました。嶋田丞副会長からは、有料老人ホームなどによる丸抱えの訪問診療が増えている現状から、かかりつけ医がより積極的に在宅診療に参画する必要性が説明されました。 1時間という限られた枠の中でしたが、清水恵一郎常任理事の司会のもと充実した内容になったと思います。

ランチョンセミナーは東商ホールと国際会議場の2箇所に分け行われました。当会が進めているスマイルスタディーのアドバイザーでもある横手幸太郎教授による『高齢者の糖尿病治療とインクレチン製剤の位置づけ』と来年度の日本内科学会総会の会頭、伊藤貞嘉教授による『進化と腎臓』。どちらの会場ともほぼ満席状態で前者はスマイルスタディー参画者も多く出席されていました。低血糖を起こさず質の高い治療を目指すスマイルスタディーに日臨内は全力をあげて取り組んでいます。後者に参加された方からは、今まで聞いたことのない切り口で、大変興味深かったとのご意見を頂きました。伊藤先生からは日臨内からも3名が世話人に名を連ねている網膜症合併糖尿病を対象としたスタチンによるイベント抑制臨床研究 EMPATHY試験についても触れられました。スタチンの1次予防のエビデンスはなく、この試験はその意味でも極めて重要なもので、多方面からも注目されています。両者とも多くの会員の参画を期待しています。

特別講演1は、『心臓バイパス手術の最前線―リスク評価と限界への挑戦―』というテーマで天野篤教授にご講演頂きました。日本では、CABGの60%以上が低侵襲の心拍動下冠動脈バイパス術で行われており、複雑3枝病変など重症度の高い冠動脈疾患以外に、以前はCABGの早期成績に影響を与える脳血管障害、肺機能障害、肝硬変、出血傾向、再手術などの危険因子、長期予後に影響する困難因子と考えられている腎不全、透析、高齢者、顕著な左室機能低下、糖尿病などを含む症例が、強力な抗血小板療法を必須とするPCIから除外され、CABG対象として増加傾向にあるという。変貌したCABGの適応について詳細に、分かりやすく解説して頂けました。

特別講演会2は自治医科大学学長の永井良三先生に『特定健診の5年間の評価と今後の方向性』というテーマでご講演頂きました。58万の特定健診データの解析はとても興味深いものでした。職種、年齢、性差により肥満の意義が異なること、単独リスクや未治療者からの発症も多いなど報告されました。世界的にNCD(非感染性疾患)対策にシフトしている中、日本においても、生活習慣病予防が重要との立場から特定健診-特定保険指導が実施されていること、成果として、高齢者は受診率が上がると、医療費を抑えることができたとのことです。最後に健康寿命の延長、非肥満者の疾病予防、COPD対策に重点をおいた『第二次国民健康づくり運動』の概要を話されました。

懇親会は皇居が一望できる東商スカイルームで開催致しました。東京内科医会 木内章裕副会長司会のもと、関係者へのお礼の挨拶をさせて頂きました。続いて猿田会長の乾杯で幕を上げました。銀座、六本木のクラブなどで演奏されている東京を代表するジャズミュージシャン(ピアノ、ギター、ベース、ボーカル)の4人による心を癒す生演奏を聞きながら、各自歓談し、親交を温め帰路につかれました。中締めは清水恵一郎 東京内科医会副会長にお願い致しました。

役員の先生方、事務局並びに関係各位に厚く御礼申し上げます。 総会として過去最多の1,093名の参加者がありました。参加者全員に、日臨内学術部が全力をあげて編集した、『内科処方実践マニュアル―使い分けとさじ加減―』が贈呈されました。日常診療の座右の書としてお役だて頂ければ幸いです。
第30回日本臨床内科医会総会 会頭 菅原 正弘


会長挨拶 動画

会頭挨拶 動画